自然にやさしい
再生可能エネルギーの電力会社は?
いろいろあるけれど、どれがいいのかしら?
判断ポイントはどこなのだろう?
こんな疑問に答えていきます。
自然にやさしい再生可能エネルギーの電力プランはたくさんありますが、どれがいいのかわかりませんよね。
地球温暖化に結び付く二酸化炭素を出さないのがいいけれど、そこだけなのかと疑問に思った人は、ぜひ参考にしてほしい内容です。
再生可能エネルギーに隠れた【本当に】自然にやさしい電力とは?
自然にやさしい電力とは何か?
地球環境に負担の少ないのは「中型水力発電」
再生エネルギはたくさんありますね。
でもどれがいいのでしょうか。
例えばメガソーラー。
雨や曇れば発電できません。
設備の利用率が悪いですね。
例えば地熱発電。
地中の温度はそれほど高くないので、効率が悪く15%ほどにしかなりません。
発電の効率が悪いですね。
例えば大型水力発電。
あれだけの敷地面積を整備して構造物を作るのは大変な建設コストがかかりますし、耐用年数がたてば使えなくなります。
つまり、
建設コスト、維持コスト、発電設備ができてからなくすまで、考えられうるすべての要素を総合的にみて、自然への負担が少ないものが本当に自然にやさしい電力です。
これを知るためには電源にかかるさまざまな費用を組み込んで発電コストを計算する必要があります。
そして経済産業省がまとめた分科会報告が参考になりました。
「基本政策分科会に対する発電コスト検証に関する報告」
これは日本がどの発電方法を今後伸ばしていくかの判断のよりどころにするものですね。
同報告書で2020時点と、2030年予測で各発電に幅を持たせていますが、これらを平均してまとめたのが上の棒グラフです。
棒グラフが低いのが低コスト。
ガスコジェネと液化天然ガス火力は二酸化炭素を排出しますから、低コストではありますが、脱炭素社会の流れに沿いません。
したがって中水力、次に太陽光事業が地球にやさしい低コスト電力です。
※本当であれば報告書にある「電力網への統合コスト」でより総合的に判断したいところですが、中水力を含めたすべての情報がないので、現在資源エネルギー省に問い合わせたところ検討されておらず、その理由の回答をまだいただいておりません。
それでは再生可能エネルギーで低コストな地球にやさしい電力を扱う電力会社を見ていきましょう。
環境にやさしい電力は?
おすすめ順に紹介していきます。
中部電力ミライズ
長野県内の水力100%
水力発電でも大規模なものは地域開発環境の破壊と建設費がかかり、中規模なものがより低コストなことが分かっています。
そしてこちらの電源構成はすべて水力であり、さらに7割ほどが中規模な水力発電所によるものです。
また燃料調整費がかかります。
これは石油、石炭や、液化天然ガスを使う発電で燃料価格が変動するために調整する追加の料金です。
飛行機で言えば燃油サーチャージと同じ仕組み。
2021年まではマイナスで割り引かれていましたが、2022年からは上昇傾向です。
次に紹介するアクアエナジー100同様に、100%水力でありながら燃料調整費が発生するのは腑に落ちないのですが、料金が通常料金単価+4.4円の仕組みのためなのでしょう。
→燃料調整費がいかに重要なのかはこちらの記事で分かります。
アクアエナジー100
東京電力リニューアブルパワー
東京電力の水力100%
東京電力が所有する水力発電所からの電力が、アクアエナジー100契約者の消費量を上回るため、100%の供給ができる仕組みです。
こちらは少し少ない4割ほどが低コストな中規模水力発電。
燃料価格で変動する追加の燃料調整費はかかりません。
中(規模)水力発電とは?
実はしっかりとした基準がないのですが、「基本政策分科会に対する発電コスト検証に関する報告」p.21では中規模水力発電を5000kWとしています。
当記事ではこちらの基準をもとにしていきます。
神奈川県嵐発電所 5700kW
参考までにNEDO(独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構)の「NEDO 再生可能エネルギー技術白書」p.4による定義では、中規模水力発電を3万kW未満をとします。
群馬県藤原発電所 22200kW
水力でおすすめできる発電で個人が契約できるプランは以上の2つだけです。
企業はもっと多くのプランがあるのですが、個人はまだまだの感がありますね。
再生可能エネルギーの太陽光はおすすめがない
太陽光だけだと曇ったり雨の時に発電できません。
設備利用率が悪いといいますが、このため太陽光だけで利用者の電力を賄うには蓄電技術の革命がおこならない限り難しそうです。
検討できるものであればスマートテックの「そらエネでんき」
自社で太陽光パネルを所有していますが、電源構成を見ると半分近くが卸電力取引なので、さまざまな電力が混在しています。
おすすめできない再生可能エネルギー電力会社
おすすめしない理由を上げます。
自然電力のでんき 自然電力
自社発電は14%、その他は太陽光、風力、小水力のミックスで電力卸取引所より買取のため却下。
また市場連動価格を採用しているため以前に話題となった電気料金の暴騰リスク(現在は制限あり)があります。
eco電気プレミアム 東北電力
自社の水力発電を持つものの、割合が少ないため却下。
電源構成は、水力だけではなく、地熱も。
燃料調整費もあり。
グリーナ
再生エネルギー自体の自社発電がないため却下。
100%自然エネルギーをうたっていますが、自社発電ではなく「グリーン電力証書」という形でお金の取引で二酸化炭素を出さないようにしているだけです。
またグリーナでは2022年1月以降でオクトパスエナジーへ移行され、「非化石証書」へ変更されます。
「グリーン電力証書」「非化石証書」は後ほど詳しく紹介します。
簡単に言うと再生エネルギー電力を買い取って売っているのですね。
現在グリーナの新規申し込みは停止、移行されたオクトパスエナジーについてもう少し。
ホームページでプランの詳細が探しにくいのですが、郵便番号入力で料金を調べるところから料金単価などを知ることができます。
プランは「スタンダードオクトパス」と「グリーンオクトパス」があり、なぜか実質再生エネルギー100%の方が安くなっています。
これはあえて通常は環境価値を加える方が高くなるのをあえて安くして、環境に負荷の少ないエネルギーの方がお財布にもやさしいと感じてもらいたいからということです。
また燃料調整費はどちらのプランもかかります。
自然でんき ソフトバンク
水力、火力、原子力、FIT電気、再生可能エネルギーなど多くの電源が混在のため却下。
この後紹介しますが、お金の取引で実質的に二酸化炭素を出さない電力にしている「非化石証書タイプ」です。
実際の発電設備を持たないので同じタイプの電力はたくさんありますが、同様に全てダメです。
・コスモでんき
・ハチドリ電力
・しろくま電力
など
さてこの「非化石証書」
聞き慣れないのでもう少し説明が必要です。
非化石証書の電力はやさしさ不十分
非化石証書とは環境にやさしい電力にお金を渡す仕組みの証明書です。
グリーン電力証書、J-クレジットなども同じようなものです。
しかしこれではやさしさが不十分なのです。
理由は2つ。
1.中水力発電がないか、それ以外の高コスト電力が含まれるから
正確には3つに分かれています。
・原子力を含まない「再エネ指定FIT」
・大型水力の「再エネ指定非FIT」
・原子力の「指定なし非FIT」
※詳しくは経済産業省「非化石価値取引市場について」p.3
再生可能エネルギーを普及させるために、みんなでお金を負担していきましょうという制度です。
具体的には太陽光、小中水力、バイオマスなどの電気を、お得な固定価格で電力会社に買い取ってもらい、そのお得分は電気料金のを払う時に「再エネ発電賦課金」として少しずつ集めらたものを割り当てています。
FITを「固定価格買取制度」で再生可能エネルギー
非FITはFITでない、火力、大型水力
いずれにしても非化石証書の電力は、二酸化炭素の放出量が多い石油や石炭、液化天然ガスこそ使ってはいないものの、高い発電コストものが含まれています。
つまり環境に負担がかかっている電力があるのです。
これは大型水力の「最エネ指定非FIT」にしても、大規模な建設地への自然環境と建設費用をかけているので、低コストの電力ではありません。
2.実際に水力発電に貢献していないから
水力発電設備を持っているわけではなく、お金の流れだけです。
これに対して東京電力リニューアブルパワーと中部電力ミライズは、グループ会社としてではありますが、実際の水力発電所を持っています。
もっと分かりやすく例えてみます。
A社-砂漠化を防止するために植林をしている
B社-そのA社を資金援助している
そしてどちらも砂漠化防止をしているといっています。
B社はA社に資金援助しているので結果としては砂漠化防止にはつながっているのですが、B社よりもA社を応援したくなります。
つまり水力発電や、ソーラーパネルなどの再生エネルギーの発電所を実際に持っている電力会社を応援したくなります。
非化石証書やグリーン証書を使って資金援助している電力会社ではなく。
自然にやさしいけれど、どのくらい高くなるのか?
自然にやさしいのは分かりましたが、料金は他と比べると高くなります。
環境への寄付金、将来への投資としてとらえるようにします。
信州Greenでんき
通常プランのお得プランに+4.4円計算で
業界最安値電力会社(4人家族条件)で比較すると
年間約+2万円高くなります。
アクアエナジー100
業界最安値電力会社(4人家族条件)で比較すると
年間約+3.5万円高くなります。
ファンドや株式で再生可能エネルギーを支援する
見てきたように太陽光は低コストですが、曇りや雨で使えなくなるのでこれだけで電力供給は難しい。
中水力は安定していますが、発電設備としての数が不足しています。
エネルギーは混合して使っていきましょうという「エネルギーミックス」のが基本の姿勢です。
そうであれば再生可能エネルギーの電力を買うのだけではなく、再生可能エネルギー事業そのものを応援するのもよいですね。
なかでも水力と太陽光は、2021年10月に閣議決定された経済産業省「第6次エネルギー基本計画概要」P.12の2030年の見通しで、電源構成を太陽光で15%、水力で11%としています。
そして同じく経済産業省「2020年度のエネルギー需要実績」からまとめると上記のようになります。
再生エネルギーではやはり低コストの太陽光と、水力に注力していくことが分かりますね。
公開株式を購入
株式を購入して長期的に貢献できます。
株式公開でおすすめできそうなもの。
・ジェイ・パワー(電源開発)
水力ほか、風力、地熱、バイオマスなど
・レノバ
水力、太陽光ほか、風力、地熱、バイオマスなど
・リニューアブル・ジャパン
水力、太陽光ほか、風力
・サワダ
太陽光
水力発電ファンド
資金を募って事業をおこす「クラウドファンディング」が各地であります。
募集期間が決まっているので、つねに決ったものはありません。
セキュリテ
キャンプファイヤ
自然エネルギー市民ファンド
しかしながら募集は小水力がほとんどであり、中水力の2倍のコスト高です。
先の報告書「基本政策分科会に対する発電コスト検証に関する報告」p.21では中規模水力発電を5000kW、小規模をp.22で200kWとしています。
事業の成否とともに判断材料の一つとしてください。
神奈川県嵐発電所 5700kW(中規模)
栃木県砥川発電所 240kW(小規模)
おすすめの記事
関東関西の安い電力会社ランキングを随時更新でお届け。
コメント