ふすまの戸が一枚だけ渋くて動かないので、直すことにしました。
道具と少しのDIY経験で直せます。
お試しください。
注文家具内装10年の元職人がお伝えします。
鴨居が下がって襖が開かないのを直す方法
4枚ふすまの1枚がここで動きません。
上の溝を鴨居(かもい)といいますが、この部分が年月とともに下がってきます。
なので動かなくなるのですね。
解決方法は2つ
1.ふすまを外して、ふすまの上を削る
2.鴨居を削る
通常は方法1です。
なぜなら簡単なので。
楽して邪道な方法をしているわけではなくて、本来の初めてふすまを入れ込むときの方法です。
どこが外しやすいのかを探す
ふすまを外して、ふすまの上を削るので、まずは外さなければいけません。
通常は真ん中が下がってくるので、左右のどちらか外しやすい側に寄せて、上に押し込んで下から外します。
楔で上げる
動かなくなるくらいなので、上に持ちあがったとしても、そう簡単には外れてくれないものです。
なので楔(くさび)の登場。
「くさびをかう」という言い方をします。
上の写真で金づちの右の三角の木片が楔です。
他の方法としては棒を使って押し上げたりもします。
「ばりをかう」といったります。
ジャッキを使って押し上げるといった方法を紹介している人もいますが、ふすまを外す程度であれば、ここまでしなくても大丈夫です。
なぜなら下の溝、敷居(しきい)といいますが、通常の深さ3mm※上げればいいだけだからです。
※現代でもふすまや障子は昔の尺貫法で作られているので、敷居の深さは1分(3.03mm)と相場が決まっているのです。
写真のように敷居( 下の溝 )に楔を差し込んで、金づちで打ち込みます。
ところで楔は木材をのこぎりで切って作ります。
ただ木材の端を斜めに切り落とすだけなので簡単ですよね。
材料はホームセンターで手に入ります。
材料の厚みが、敷居の溝に入れる巾になるので、狭すぎず、広すぎずで、できれば1,2ミリくらい狭いのが良いですね。
楔は商品としてあるにはありますが、もし試すのならサイズ的にこちらでしょう。
左右に動かしてふすまと敷居の隙間の一番広いとろに打ち込みます。
一般的に敷居の溝幅は7分(21mm)なので20mmの楔で丁度良いですね。
楔は敷居から外れる高さ、ほとんどの場合3mm程度上げれば十分です。
打ち当てでたたきだす
高さが上がったら今度は横にずらして外すのですが、かなり硬くなっているのでそのままでは動きません。
ここで無理に力でふすまを引っ張ると、折れるくらい硬いはずなのでやめてくださいね。
どうするかというと写真のように金づちでたたいて、押し出します。
その際に直接ふすまの木枠(桟)をたたくのではなく、棒(打ち当て)を使って、ふすまを傷めないように、かつ打つ力を分散させて外します。
打ち当ては左手でふすまに押し当てておいて、右手で打ち当てをたたきます。
かなづちは100円ショップのような軽いものだと、今回のような作業は厳しいので、少し重めのかなづち、大玄(おおげん)を使います。
軽いかなづちは大振りしないと力が出ないので、的を外れたりして危ないです。
先日もつい手元になかったので、小さいのを大振りして指に当ててしまいました。
使うのはこのくらいが良いです。
握るところは樹脂製が滑りにくくて使いやすいです。
※職人さんは握る棒(柄)が木だとサマになるので、金属の頭と木の柄を別に買い、はめて(すげるといいます)使います。
また木の柄は緩んでくると締め直さなくてはいけないので、やはり樹脂製が良いです。
もし「打ち当て」も買うのならこちらでしょう。
30cmあるので、楔を作った残りで打ち当てにできます。
本当はもう少し硬い木を使うのですが、建具を外す程度ならこれでOKです。
鋸で一部を切り落とす
襖の上、上端(うわば)を鉋(かんな)で削る前に、木枠の縦(縦桟)を鋸(のこぎり)で落としておきます。
なぜ鋸で落としておくのかというと、木の繊維の断面を木口(こぐち)といいますが、ここは硬くて鉋で削りにくいからです。
分かりやすい例としては「さけるチーズ」
繊維に沿ってはがすのは楽ですが、長さを切るのは力がいりますよね。
一緒です。
5mmは落としましょう。
なぜかというと、敷居の溝深さ3mm+余裕2mmです。
※余談ですが、鋸がサビサビで刃(目といいます)が荒い汚いのは、植木の伐採鋸しか持ってこなかったためです。
本当であれば、鋸目(のこめ)の細かいのが、キレイにきれるので良いですよ。
初めて買うのならこれで間違いはないはずです。
ふすまを削るのは上
下ではありません。
下を削ってしまうと建具の調整がガタガタになるのと、敷居(下の溝)への掛りが少なくなってふすまが外れやすくなってしまいます。
さらにもう一箇所切っていきましょう。
写真の赤枠の部分、隣の襖との隙間をふさぐ板です。
開き扉の場合はトンボといいますが、ふすまの場合は名前を知りません。
これがもう余裕なくつかえているので、ここも合わせて鋸で同じように5mm切り落としておきます。
上桟の釘の打ち込み
切り落とした縦桟5mmで、上桟を削っていくのですが、よく見ると上桟の中央部分に2か所釘が打ちこんであります。
うっかり見落とすと鉋の刃をダメにしてしまいます。
鉋を掛ける前によく見ておかないと後で泣きを見るのですね。
「釘締め」を持ってこなかったので、ビスで打ち込みます。
ビスの先を釘の頭につけて、たたいていきます。
ビス先が滑ってやりづらいですが、何とか奥へ入っていきました。
木が古く弱くなっていて助かりました。
やはり本当であれば、「釘締め」の短いほうでたたき込むのが比較ならないくらい楽です。
釘締めを使う写真を別撮りで。
たたくとズンズン入っていきます。
持つならこちらですね。
長年愛用しています。
ほとんど短い頭を使います。
また柄にプラがないのを使ったことがありますが、冬に冷たくてプラの良さが分かりました。
また柄が太いとその分しっかり保持できるもが本来の良い点です。
釘を鉋で削り落とす分より余裕をもって深く打ち込んでおきます。
鉋で削る
そして鉋(かんな)で削っていきます。
角は斜めに落としておきましょう。
面(めん)を取るといいます。
この作業では鉋の削った面が見えなくなるため、安い鉋でも大丈夫です。
自分はいくつも鉋を持っているので、ガリガリ削る現場用の荒鉋での作業です。
鉋のおすすめは難しいですね。
・替刃式
・ダイヤル調整
・下面の狂いのないモノ
・ある程度の大きさ
こんな条件を満たすものがあれば、ぜひおすすめしたいのですが、探してもごく小さいものしかありません。
手ごろなサイズがないので、ダイヤル式と下面の狂いのないモノの条件をあきらめて、紹介できるのはこのあたりでしょうか。
替刃式ではありますが、これでも鉋を初めて使うには誰かに教わらないと難しいです。
教わることができないのなら、せめてYouTubeでも。
やっぱり鉋はちょっとという方はこれがおすすめです。
以前に職場の先輩から譲り受けたのですが、目詰まりなしくて、早く削れます。
細目と粗目の両面使いです。
木工ヤスリより刃が多いのでガリガリ削れます。
まとめ
手順を書き出してみましょう。
1.ふすまの外しやすい場所を探す
2.楔でふすまを押し上げる
3.ふすまを敷居から押し出す
4.ふすまの一部を鋸で切り落とす
5.釘を深く打ち込む
6.鉋で削る
鉋削りは削りカスがでて散らばるので、事前にゴミ袋と、掃除機を用意しておくと後が楽です。
でも業者でそれほどかからないのなら、お願いしていもいいですね。
自分で選ぶ担当者のレビューと代金が分かってお願いできます。
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トイレは自分で交換できます。水道代も下がるし、掃除も楽になりますよ。
プロの使う道具をこっそりのぞけます。
古い原付はいじりがいがあります。
古い自転車の重いライトは、仕組みは同じでも驚くべき進化をとげています。
ギアが固いのはケーブル交換で解決できます。やってみると意外と簡単。
コメント
素晴らしい。トイレの水漏れ、閉まらないドア、閉まらないアルミ窓などなんでも直してきた自分ですが、開かない襖は専門家に頼まないと無理だと思っていました。しかしこれなら自分でもできそうだと分かりました。専門道具の購入先も書いてあって大変親切です。ありがとうございました。
kunyさん
こんにちは、コメントありがとうございます。
自分でできることが広がると楽しいですよね。道具は多少のお金がかかりますけれど、人にお願いするよりは安くつきますし、なによりまた今度につかえますしね。
トイレの水漏れを直されるのでしたら、今度は便器の交換も挑戦してみてください。節水と掃除が楽になりますよ。
鴨居が下がり、襖が開かず、ずっと悩んでました。
ノコギリで一気に5ミリ切り落とし、ヤスリでやすったらスムーズになりました!このページに感謝です!
ぽーくんまん様
お役に立ててよかったです。
コメントはとても励みになります、こちらこそありがとうございました。